![モードについて](https://bassnote.jp/wp-content/uploads/2022/06/a4d9f51ac5b1c2304388d8177b1f1b83-1024x538.jpg)
モードについて
そもそもモードとは
「モードとは、あるスケールから派生した別のスケールのことである!」
「”メジャースケール”から派生した”ドリアンモード”みたいな!」
――というのが、現代における一番かんたんな解答なのですが。
この2行で片付けてしまうと後々に大きな不都合が生まれてしまうので、少しだけ掘り下げておきます。
「モードとは何か」
これを一言で説明するのは、なかなかに厄介です。
モードって、理論書を3冊読むと3冊とも書いてある定義が異なるような面倒な代物なんです。
えぇ……。
現代音楽における「モード」という言葉が持つ意味が広すぎるのです…。
次の項目から、その全貌を詳しく解説します!
まずは、一言であらわすなら「特殊な雰囲気を持ったスケール(音階)のことだよ!」ということにしましょう!
モードに関する基礎知識
古代ギリシャのギリシャ旋法
モード(mode)、日本語では「旋法」と呼ばれます。
旋法 = 旋律の雰囲気を再現する方法論、みたいなニュアンスで読み取ってください。
その歴史は古く、古代ギリシャの時代から使われていました。
死せる者達が駆け抜けた神話の時代、その中で確立された音使いが「モード」の元祖になります。
古代ギリシャの旋法
- ミクソリディア
- リディア
- フリギア
- ドリア
- ヒュポリディア
- ヒュポフリギア
- ヒュポドリア
現代の7つのモードの名称は、古代ギリシャの旋法の名称が由来になっています!
中世ヨーロッパの教会旋法
中世ヨーロッパになると、音楽の主戦場は教会へと移ります。
教会で奏でられる音楽( =グレゴリオ聖歌)を分類するための理論体系として「教会旋法( =グレゴリアンモード)」というものが使われるようになりました。
現代の音楽理論における教会旋法( =チャーチモード)は、この中世ヨーロッパのグレゴリアンモード(グレゴリアン音階)のことを指している場合が多いです。
ただし!
時代の流れとともにルールや使い方が変わってきているので、中世のグレゴリアンモードと現代のチャーチモードには、その意味合いに誤差があります!
そのあたりも注意!
現代音楽の旋法( =モード)
そして時は流れ、教会旋法から調性音楽の時代へ。
そのなかで現代のモードスケールの概念が完成します。
これが、冒頭に書いた「あるスケールから派生した別のスケール」の概念です。
使う人や理論書、場面によってモードという言葉の意味合いが変わるのは
- 古代ギリシャ時代の解釈
- 中世ヨーロッパ時代の解釈
- 現代の解釈
これらの解釈が長い歴史のなかで混ざってしまっているからなんです。
モードに関する知識を勉強するためには、最初にこのあたりの区別を知っておくのが大事かなと思います。
言葉の定義は、文脈に合わせて臨機応変に読み取ってみましょう…!
チャーチモードについて
それでは、現代音楽における最もポピュラーなモードの使い方、チャーチモード(Church Mode)について勉強していきましょう。
チャーチモードとは
![黒本版のI'll close my eyes](https://bassnote.jp/wp-content/uploads/2022/05/9d5918cc500d5feee3c325aa11ea2744-971x1024.png)
ばばばばん。
我々ジャズミュージシャンは、コードの書かれたリードシートを読みながら、もしくは頭の中に描きながら演奏します。
このようなコード譜を見た時に「このコードの上では、この音使いで演奏ができる」という情報を導き出すことができるのが、現代音楽における一番分かりやすいモードの知識の使い方です。
![7種類のモードの名前](https://bassnote.jp/wp-content/uploads/2022/06/c00a0f25b7b26066d7d1534c076796c8-1024x576.png)
モード(音階)は、大きくわけて全部で7種類。
「楽曲を自由に演奏するために、まずは上記7種類の音階を覚えましょう!」というのがチャーチモード攻略の基本です。
モードはそれぞれイオニアンモード、ドリアンモード、フリジアンモード…という呼び方をします。
分かりやすいように、ここではモード = スケールとして捉えてください!
![ダイアトニックとモード](https://bassnote.jp/wp-content/uploads/2022/06/6530ffbd710bd73a74ee0bec803163e3-1024x576.png)
この7つのモードは、それぞれがダイアトニックコードに対応しています。
例えばI△7のコードの上ではイオニアンスケールを、IIm7のコードの上ではドリアンスケールを演奏することができます。
この7種類のスケールをまとめて「チャーチモード」と呼びます。
ダイアトニックコードさえ判断できれば、弾けない楽曲はなくなります!
これが現代音楽におけるモードの基本概要になります。
![](https://bassnote.jp/wp-content/uploads/2022/05/b1c29a589062d0fbb761e2c787ff0827-300x158.jpg)
チャーチモードの仕組みについて
![鍵盤で見るメジャースケール](https://bassnote.jp/wp-content/uploads/2022/06/570d6e22075e2d420c4d7b1f4a2bcc40-1024x576.png)
ばばばばん!
こちら、おなじみのCメジャースケールです。
![鍵盤で見るマイナースケール](https://bassnote.jp/wp-content/uploads/2022/06/84a59479264abb3b7fa0e71b30bd7452-1024x576.png)
「これを6番目のAの音からスタートすると、Aマイナースケールになるよ!」というお話を「平行調について」の記事で解説しました。
レラティブの関係(使っている音が同じ)のスケール。
これがモードの基本概念になります。
…なんて?
次の項目で詳しく解説します!
7つのモードスケール
第ⅰモード イオニアン (Ionian)
![イオニアンスケール](https://bassnote.jp/wp-content/uploads/2022/06/c5b5c9ffc97307de89f77f398676c2ac-1024x576.png)
先ほどのメジャースケール。
これは、モードの世界では「イオニアン」という名称がついています。
7つのチャーチモードのうちの1つ目、攻略完了です!
![指板上のイオニアンの形](https://bassnote.jp/wp-content/uploads/2022/06/1000c808d22e4ba7c510371bcf0bf73f-1024x576.jpg)
ただのメジャースケールなのに、面倒臭いですね…!
モードの世界では、メジャースケールの4度の音が「メジャースケールを象徴する特性音」に指定されています。
それだけ覚えておきましょう!
「アイオニアン」と呼ぶ方もいます。
これはアルファベット表記の「Ionian」の” I” の発音による違いなので、意味は同じです!
第ⅱモード ドリアン (Dorian)
![ドリアンスケール](https://bassnote.jp/wp-content/uploads/2022/06/e569b75c027bb587a8e1fd51892d3896-1024x576.png)
メジャースケールの音を2度から並べると「ドリアン」と呼ばれるモードスケールが完成します。
II-V-IのII度の上や、サブドミナントマイナーとして登場するIVm7のうえで使用できる万能な音階です。
「レから演奏するとドリアンになるよ!」という教え方をする人や理論書が多いですが、この覚え方は危険です!
あくまで「全半全全全半全という配列 = ドリアン」ということを覚えておきましょう!
![指板上のドリアンの形](https://bassnote.jp/wp-content/uploads/2022/06/8248aa20ed9cfb55f24449d235bd4c27-1024x576.jpg)
マイナースケールの6度をシャープさせると、ドリアンスケールが完成します!
このときに動かした音をモードの世界では「特性音(=Characteristic Note)」と呼び、そのモード特有の雰囲気を象徴する大事な音になります!
第ⅲモード フリジアン (Phrygian)
![フリジアンスケール](https://bassnote.jp/wp-content/uploads/2022/06/4e899e9d3f6d23243c968f5f2b224130-1024x576.png)
メジャースケールの3番目から演奏すると「フリジアン」と呼ばれる配列になります。
スペイン色の強い独特なサウンドが特徴です。
キャラクターが強すぎるが故、フリジアンを想定して演奏する場面はそれほど多くはありません。
![指板上のフリジアンの形](https://bassnote.jp/wp-content/uploads/2022/06/ca5ab8f4c7399f06c970f1a30b508e0d-1024x576.jpg)
マイナースケールの2度をフラットさせるとフリジアンスケールのフォームになります!
動かした音が特性音になる法則で、♭9thの音がフリジアンを象徴する特性音になります!
第ⅳモード リディアン (Lydian)
![リディアンスケール](https://bassnote.jp/wp-content/uploads/2022/06/462a0fc289ef16637b33c48c52791cc7-1024x576.png)
4番目スタートで完成するのが「リディアン」と呼ばれるモード。
7種類のモードのなかで、もっとも明るい響きを持つモードになります。
「ダイアトニックのIV△7の上で使えるスケール!」と覚えるよりは「メジャー系のコードが2小節以上続いたときはメジャースケールよりもリディアン!」と覚えておくと実用的です!
![指板上のリディアンの形](https://bassnote.jp/wp-content/uploads/2022/06/13c835ec9839094b06d2537ec5c5ef47-1024x576.jpg)
メジャースケールを基準に、4度の音をシャープさせるとリディアンスケールが完成します!
第ⅴモード ミクソリディアン (Mixolydian)
![ミクソリディアンスケール](https://bassnote.jp/wp-content/uploads/2022/06/81ac4d1615e013a886eb5af8359fc5d8-1024x576.png)
7thコードのコードトーンを軸に生成された第5モード「ミクソリディアン」。
ドリアンとミクソリディアンは、モードの中でも断トツで使用頻度の高い配列になります。
![指板上のミクソリディアンの形](https://bassnote.jp/wp-content/uploads/2022/06/197efcc7be1152302359a0b8db49f23f-1024x576.jpg)
メジャースケールの7度の音をフラットさせるとミクソリディアンになります!
第ⅵモード エオリアン (Aeolian)
![エオリアンスケール](https://bassnote.jp/wp-content/uploads/2022/06/bb7da8cadb7815dac1cc56bb89d87695-1024x576.png)
メジャースケールを6番目の音から並べた配列、つまりマイナースケールです。
モードの世界では、マイナースケールには「エオリアン」という名前がついています。
![指板上のエオリアンの形](https://bassnote.jp/wp-content/uploads/2022/06/ec44d919110a5580cc42b8f6438e546a-1024x576.jpg)
指板上の形も、当然おなじみのマイナースケールの形になります!
エオリアンでは♭13thの音が特性音として扱われます。
第ⅶモード ロクリアン (Locrian)
![ロクリアンスケール](https://bassnote.jp/wp-content/uploads/2022/06/23323f6602e99584bf2817f63f22ffb2-1024x576.png)
7つのモードスケールの中で、もっとも暗い響きを持つ第7モード「ロクリアン」。
マイナーII-V-IのIIø7のうえで使用することができる便利なスケールです!
![指板上のロクリアンの形](https://bassnote.jp/wp-content/uploads/2022/06/81c5dca1ae691639fe0cf6295ff2091d-1024x576.jpg)
マイナースケールの2度と5度がフラットしたものがロクリアンスケールになります。
- Cイオニアン
- Dドリアン
- Eフリジアン
- Fリディアン
- Gミクソリディアン
- Aエオリアン
- Bロクリアン
この7つのモードは、使っている音がすべて同じ――つまりレラティブな関係にあるモードになります!
まずは、以上7種類のスケールフォームを覚えてみましょう!
モードスケールの覚え方のコツ
名称は「イドフリミエロ」で覚えよう
![7種類のモードの名前](https://bassnote.jp/wp-content/uploads/2022/06/c00a0f25b7b26066d7d1534c076796c8-1024x576.png)
7つのスケールの頭文字をとって「イドフリミエロ」と覚えるのが一般的です!
- イオニアン
- ドリアン
- フリジアン
- リディアン
- ミクソリディアン
- エオリアン
- ロクリアン
この順番でダイアトニックの度数に対応しているので、必ずこの順番で覚えるようにしましょう!
モードはカテゴリ分けして覚えよう!
![指板上のリディアンの形](https://bassnote.jp/wp-content/uploads/2022/06/13c835ec9839094b06d2537ec5c5ef47-1024x576.jpg)
注目するのは、スケールの3番目の音。
コードと同じように、スケールの「メジャー/マイナー」の分類は3番目の音で決まります。
◤ メジャー系 ◢ | ◤ マイナー系 ◢ |
イオニアン リディアン ミクソリディアン | ドリアン フリジアン エオリアン ロクリアン |
このカテゴリ分けが頭の中にあると、より簡単にスケールの配列を覚えることができます!
「メジャースケールの◯度の音をフラットさせたやつ」
「マイナースケールの◯度の音をシャープさせたやつ」
という考え方とともに覚えましょう!
- イオニアンはメジャースケールのこと
- ドリアンはマイナーの6度をシャープ
- フリジアンはマイナーの2度をフラット
- リディアンはメジャーの4度をシャープ
- ミクソリディアンはメジャーの7度をフラット
- エオリアンはマイナースケールのこと
- ロクリアンはマイナーの2度と5度をフラット
大正解!
![](https://bassnote.jp/wp-content/uploads/2022/05/22380b42237e461b182b303d78d6b110-300x158.jpg)
スケールとモードの違い
![スケールとモードについて](https://bassnote.jp/wp-content/uploads/2023/01/84ec028d99ae92c1bed4b74eb1c8b35d-1024x538.jpg)
スケールとモードの違いって何ですか?
「スケール」
「モード」
このふたつの単語は、現代音楽においてはほぼ同意義の言葉として扱われています。
我々ジャズミュージシャンも「スケール」と「モード」を相互変換可能な音階をあらわす言葉として使用します。
BASS NOTEのなかでは、
- ペアレントスケールありきで、それを基準に音階を解説する場合は「モード」
- 音階をそれ単体で解説する場合には「スケール」
という言葉を選んで使うようにしています。
現代の音楽を演奏するうえでは、スケールとモードはほぼほぼ同意義で覚えていても困ることは少ないです!