ノンダイアトニックコードの基本中の基本「セカンダリードミナント」。
楽曲に登場するダイアトニックコード外の7thコードのうち、8〜9割はセカンダリードミナントとして登場します。
セカンダリードミナントの勉強には、事前知識として「ダイアトニックコード」と「ドミナントモーション」に関する知識が必須になります!
曖昧な方は、各記事で勉強してからセカンダリードミナントに挑戦してみてください!
セカンダリードミナントとは
そもそも、セカンダリードミナント(Secondary Dominant = Sec.D)とは――。
ダイアトニックコードに解決するドミナント7thコードのことをセカンダリードミナントと呼びます。
ちなみに日本語では副属和音とか副属七和音とか呼びます。
……ん?
え、なんて??
字面で見ると、ぜんぜんピンと来ません。
いきなりこんな説明をされたら、僕でもよく分かりません。
これは難しい理論を説明するよりも、最初に実例を見ていただいたほうが分かりやすいかなと思います。
例えば、Key=Cのこんなコード進行の楽曲があったとします。
I-IV-II-V(1625)と呼ばれる音楽のお決まり進行です!
じゃじゃん。
セカンダリードミナントを挿入してみました。
この例ではE7がセカンダリードミナントになります。
セカンダリードミナントの仕組み
- あるターゲットを決める。
- そのコードに対してドミナントモーションできる7thコードを無理やり挿入する。
このときに挿入される7thコードがセカンダリードミナントと呼ばれるコードになります。
この例では、ターゲットAm7にドミナントモーションできるコードを挿入しました!
おぉ!分かりやすい!
ターゲットの5度上( = 4度下)の7thコードを入れてあげればいいんですね!
セカンダリードミナントは、ノンダイアトニックコード(= ダイアトニックコード外の音)のことを指します。
C△7に解決するG7は、もともとダイアトニックに含まれているコードなのでセカンダリードミナントとしては扱いません!
セカンダリードミナントの使い方
理論上では、すべてのコードに対してセカンダリードミナントをねじ込むことができます。
楽曲の聴かせどころで、隠し味にセカンダリードミナントのコードを混ぜてみましょう!
ベースラインだけがセカンダリードミナントの音を経由するようなアレンジもエモみが深くてオススメです!
上の進行からセカンダリードミナントを抜くと、こんな感じのシンプルなコード進行になります!
よく使うセカンダリードミナント
セカンダリードミナントとして頻繁に登場にするのは
- Ⅳ度へドミナントモーションするI7
- Ⅵ度へドミナントモーションするⅢ7
- Ⅱ度へドミナントモーションするⅥ7
このあたりでしょうか。
椎名林檎さんの丸ノ内サディスティックは、セカンダリードミナント(III7とI7)が1コードおきに連発されるドミナントモーションごり押しの超名曲です!
セカンダリードミナントの特殊な表記について
I△7 – V7/ii – IIm7 – V7
ここからは豆知識です。
分析の世界では「V7/ii」「V7/iii」と表記される場合があります。
これは「ファイブセブン of ツー」「five 7th of III」と読み、それぞれ「II度に向かうV度(セカンダリードミナント)」「III度に向かうためのV度(セカンダリードミナント)」を指します。
Key=Cにおいての「V7/ii」は
ii=Dmとして
Dmに向かうV度=A7を指すことになります!
V7(♭9)について
着地先がマイナーコードの場合のセカンダリードミナントは、V7(♭9)になる場合があることも頭の片隅に入れておきましょう!
マイナーに向かうV7はハーモニックマイナーからの借用なので、
V7-ImのときのV7はハーモニックマイナー系のテンション(やスケール)が使用される場合が多いです!
リレイテッドIIm7について
もうひとつ、ターゲットのコードに対してII-V-Iを生成するリレイテッドIIm(related two minor = Rel.II)という音楽理論についてあわせて紹介しておきます。
セカンダリードミナントの前に、ターゲットの音から見た2度のコードをねじ込むことで擬似的なⅡ-Ⅴ-Ⅰ進行を作り上げることができます。
このときにねじ込む2度マイナーのコードのことをリレイテッドIImと呼びます。
「セカンダリードミナントに4度進行するコードを挿入する」という考え方でもOKです!
分かりやすいのは、クマムシさんのあったかいんだからぁ♪。
ダイアトニックIV度のFに向かうセカンダリードミナントのC7(Ⅰ7)と、そこに向かうリレイテッドⅡmのGm7がお手本のように綺麗に並んでいます。
リレイテッドIImとセカンダリードミナントで構成されたII-V-Iは、楽曲の雰囲気がガラリとかわる最高の聴かせポイント!
コードの移り変わりを誤魔化さずに、きちんとコードに対応したベースラインで支えてあげましょう!
一時的な転調について
リレイテッドIIm・セカンダリードミナントの処理の間は、一瞬だけKeyが転調している状態になります。
ダイアトニックコード内のコードと比較すると、使えるスケールやテンションが変わってきます。
リレイテッドIIm-セカンダリードミナント7th-解決先のコード
この進行では、解決先のコードをKeyの音と仮定して分析してあげましょう!
Rel.IIを挿入した場合のSec.Dの省略について
「リレイテッドIImとセカンダリードミナントを同時に挿入したとき、セカンダリードミナントコードを省略することができる」という音楽理論があります。
F△7 ←解決先のコード
Gm7 – C7 – F△7 ←Rel.II – Sec.D – Tonicized chord
C7 – F△7 ← Sec.D – Tonicized chord
Gm7 – F△7 ←Rel.II – Tonicized chord
Rel.IIとSec.Dはお互いのコードを補完することができます!
サラッと書いていますが、よく使う理論なので覚えておきましょう!
連発したセカンダリードミナント
ダブル・ドミナントについて
カンダリードミナントでドミナントモーションしているところに対して、さらにドミナントモーションをしかけるコードのことを「ダブルドミナント」と呼びます。
セカンダリードミナント2連発のことですね!
エクステンデッド・ドミナントについて
これは音楽的にはあんまり使わないと思うんですけども。
理論的には無限にダブルドミナントを追加し続けることができます。
このように、ドミナントモーションが連続している状態のことを「エクステンデッドドミナント」と呼びます。
これは「ドミナントモーションしているコードの塊」のことを指すワードであって、ドミナントモーションのような動詞ではないので注意!