「あなたにリズム感に自信がありますか?」という問いに対して
「はい!あります!」
――なんて自信を持ってと答えられる人は、おそらくこのページを開いてはいないでしょう。
「リズム感」というのは日本特有の曖昧な単語なので、僕自身はあんまり使いたくない言葉なんですけども…。
「ベーシストのためのブログとして触れないわけにはいかないだろう」ということで、重い腰を上げて今回はこの話題を取り上げることにしました。
自分のリズム感に悩んでいるすべての方へ。
「できる状態」になるためには、まず「知っている状態」になることが大切です。
この記事を通して、リズムに関する根本的な考え方を知っていただきたいと思います。
「リズム感」に関する基本概要
そもそも「リズム感が良い」とは
そもそも「リズム感が良い」とは、どのような状態を指すのでしょうか。
僕の生徒さんやフォロワーさん達に尋ねてみました。
Q.あなたにとって『リズム感が良い』とは?
- クリックに合わせることができること
- 一定のリズムをキープできること
- 走ったり、もたついたりしないこと
- 周りが気持ちよく演奏できるようにすること
などなど、その答えは人によって様々でした。
大前提として「リズム感」というのは、とっても曖昧な言葉なんです…!
BASS NOTE式「リズム感が良い」の定義について
曖昧な言葉を使っていても議論は進まないので、まずは僕のなかでの「リズム感が良い」の定義をシェアさせていただきます。
『自分の中に絶対的な4分音符を持っていること。』
これです。
これが僕が定める「リズム感が良い」という状態です。
プロとして10年以上演奏を続けてきて、この定義に落ち着きました。
音楽・リズムの土台(foundation)になるのは必ず4分音符です。
4分音符は、音楽においてありとあらゆる要素の根底に君臨する重要なエレメントなのです。
「リズム感」と「Time」という言葉について
“絶対的な4分音符”の概念を説明するために、もうひとつ皆さんと共有しておきたい情報があります。
それが「タイム(Time)」についてです。
冒頭でもお話しましたが「リズム感」というのは日本特有の単語です。
英語圏ではタイム(time)という言葉が、それに相当します。
“doesn’t have a time“で「リズム感がない」という意味合いになります!
西洋音楽には
「時間軸という制約のなかで演奏するのが音楽である」
という概念があります。
おそらく、それがタイムという言葉の由来でしょう。
「タイムのチューニング」について
” in Tune, in Time “
(まずタイムをチューニングしましょう。)
これは僕の師匠から教わった言葉です。
ピッチやフレーズの話は後回し。
音楽の基本は、なにはともあれまずはタイムです。
タイム(time)をチューニングすることができれば、グルーヴ(groove)を算出できます。
グルーヴの位置が分かれば、ポケット(pocket)が見えてきます。
演奏において最重要なのはtime=時間軸なんです。
そして、メンバー同士で時間軸を共有するときの指標――これが4分音符になります。
タイムをチューニングすることができれば、自動的に4分音符の位置も導き出すことができます。
つまり「絶対的な4分音符を持つこと」は「タイムをチューニングできること」と同義であり、音楽のすべてをコントロールできるようになるための入り口になる要素でもあるわけです。
「自分はリズム感が悪い…」
と悩んでいる方は、拍(= beat)や拍子(= meter)に重きを置いてしまっていませんか。
「メトロノームに合わせて練習しましょう」という言葉を、間違った方向に解釈してしまっていませんか。
もっと時間軸(= time)に目を向けて、自分の中に強固な4分音符を持ってみましょう!
自分のなかのタイムをチューニングして、4分音符の軸を作れるようになるのが先です!
メトロノームは、その確認に使用するアイテムです!
「受動的リズム感」と「能動的リズム感」について
リズム感には「受動的リズム感」と「能動的リズム感」というふたつのカテゴリがあるのをご存知でしょうか。
……いま僕がこの記事を書くために勝手に命名した言葉なので、誰も存じないと思います。すみません。
メトロノームに先導してもらうのは「受動的なリズム感」です。
メトロノームを先導するのが「能動的なリズム感」です。
この2種類のリズム感はまったくの別物です。
演奏に用いるときは、それぞれ全然違う神経を使うことになります。
ここを混同してしまうと、リズムに関するお話は進みません。
気をつけましょう。
「リズム感が良くなりたい」と悩んでいる方の大半が、能動的なリズム感を欲しながら受動的リズム感を鍛える練習をしてしまっているのが現状です。
能動的リズム感を身につけるためには「自分の中に絶対的な4分音符を持つこと」が必要不可欠になります。
要するに「自分の中から自発的にリズムの軸を生み出せるようになると、リズム感に関する悩みは粗方解決するかもしれないよ!」というお話です!
メトロノームを追いかけるような練習をしていても「能動的リズム感」のほうは絶対に身につかないので、別のアプローチで鍛えていく必要があります!
リズム感が良くなりたい方へ
「メトロノームを裏で鳴らしましょう」
「クリックを3連の3つ目で鳴らしましょう」
このような巷に溢れているメトロノームを使った練習方法は、能動的リズム感の概念を理解した状態で行わないと効果がありません。
これは、あくまで自分の中に完成した4分音符の軸――つまり能動的なリズムをより強固なものにするための練習方法なんです。
断言します。
どんなに器用な鳴らし方をできるようになっても、根本的なリズム感の改善には繋がりません。
メトロノームを使ってリズム感が良くなるなら、誰も苦労しないんです…!
リズム感を良くするための具体的な練習方法
じゃあ、リズム感を良くするためには具体的にはどんな練習方法が効果的なんですか?
結論から書くと「自分のなかの4分音符を補強するための軸を作る練習」を集中して行うようにしましょう!
ここを疎かにすると、どれだけ練習を重ねても能動的リズム感の上達はあり得ません!
- 4カウントを取りながら演奏する練習
- 日常の動作にカウントを落とし込む練習
- クリックを4分で鳴らしてサブディバイドの練習
- クリックの数を1/2, 1,4, 1/8, 1/16に減らす練習
- 拍を無視して演奏する練習
- クオンタイズされていないリズムを感じる練習
BASS NOTEのレッスンで行っている練習の一部を箇条書きにしてみました!
このあたりが能動的リズム感の土台を鍛えることに直結します。
この後の項目を読まずに上記の練習をおこなうと、かえってリズム感が悪くなる可能性があります!
必ずトレーニングの狙いを理解してから実践するようにしてください!
リズム感が良くなりたい人のための知識
これはリズム感に自信がない人たちが感じている4分音符です。
そして、こちらが僕が演奏中に感じている4分音符です。
複数の軸から4分音符を3次元的に補強しています。
これが大切なんです!!
one, two, three, fourに頼るから失敗するんです!
もっと多角的に、合理的にいきましょう!
人間が本来持っているタイムの感覚は、one, two, three, fourの4つのグリッドでは測れないものなんです。
先に挙げた練習メニューは、リズムの波形を赤い線のように滑らかに捉えられるようになるための土台作りの練習になります。
紙の上でリズムを学んでしまった方は、青い線の形状でリズムを感じてしまっています。
“16分音符は4分音符の25%の長さ”というように、数字で音の長さを捉えている状態です。
人間が本来持っているのは、赤い線のような滑らかな形状のタイムなんです。
少なくても「リズム感が良い」とされる人たちは必ずこちらの波形でタイムを感じています。
この違いを理解することで、タイムや4分音符がハッキリと分かるようになってきます!
BASS NOTEのオンラインレ
〜リズム感にお悩みの方へ〜
リズムのお話は、どうしても文字情報だけでは伝えきれない部分があります…。
興味を持っていただけたら、ぜひ僕のオンラインレッスンやオンラインコミュニティ「Minerva」に遊びにきてください!
基礎の基礎から「絶対的な4分音符」の身につけ方を解説させていただきます!
オンラインレッスンの詳細はこちら オンラインコミュニティ
Minervaの詳細はこちら
みんなの声
かずあき先生のメトロノームの使い方講座、ほんとに人生変わるからいろんなベーシストさんに聞いてほしい🥺
— 坂本 (@anemone_jazz) April 5, 2022
クリックが生きてるみたいに聞こえるの凄い✨#Minerva https://t.co/V3Z3OoWGFd
Minerva式リズムトレーニング効きすぎて音楽の聞こえ方変わる笑
— ピニャ子 (@pina_colada0716) September 19, 2022