IVm7(b5)って何ですか?
曲をアナライズしていたら、めっちゃ遭遇するんですけど…。
リディアンモードの4度から借用しているノンダイアトニックコードですね!
IV△7の代理や、IV△7に向かうパッシングまたはドミナントとして使用されるのが一般的です!
令和のアニソン界隈ではすっかり主流となった#IVø7に関する解説です。
#IVm7(♭5) = #IVø7について
#IVø7はリディアンモードのIV度から借用されるノンダイアトニックコードです。
- IV△7(サブドミナント)の代理
- IV△7に向かうパッシングコードやドミナント
- I、Ⅵm(トニック)の代理
などの用途に使われるのが一般的です。
IV△7の代理
一番使いやすいのはIV(サブドミナント)の代理としての使い方。
F#ø7 =F#, A, C, E
F△7 = F, A, C, E
IV△7と#IVø7はルート以外が同じ音で構成されているので、お互いを代理コードとして使用できます。
#IVø7 IVm6
けものは居ても のけものは居ない
IIIm7 ♭IIo7 IIm7
本当の愛は ここにあ る
ようこそジャパリパークへ(どうぶつビスケッツ×PPP)のBメロ頭ではIV△7の代わりとして#IVø7登場しています。
定番のIV△7(サブドミナント)→IVm7(サブドミナントマイナー)の流れが原型ですね。
普通にIV△7のコードを使うよりも「セクションが変わった感」を出すことができますね!
IV△7に向かうパッシングまたはドミナント
パッシングコードとして
F△7 = F, A, C, E
F#ø7 = F#, A, C, E
前述の通り、この2つのコードはルート以外はすべて同じ音で構成されています。
この特性を活かす例が下記のコード進行。
VIm7 #Vaug I/V #IVø7
乱れてく 呼吸で 叫ぶことも できない
IV II III7
問いかけを きみに スマッシュする
灼熱スイッチ(雀が原中学卓球部)のBメロ後半。
IV△7の前に#IVø7を挟むことで、IV度に向かう自然な半音降下(クリシェ)を再現しています。
ドミナントコードとして
#IVm7(b5)コードは、以下の理論で「半音下のコードに向かう特性のある音」であることが証明できます。
- 現調の#IVø7 = 属調(dominant key)のVIIø7である。
- VIIø7はIII7に向かう(II-Vを構成する)機能を持つコードである。
- 属調のIII7=現調のVII7である。
- 現調のVII7はサブドミナントの機能を持つコードである。
- 現調のサブドミナントIVΔ7と置換が可能である。
- 以上のことから、現調の#IVø7は現調のSD=IV△7に向かう機能のある。
- #IVはVIIに4度進行する音である。
- VIIとIVは裏コードの関係にある音なので置換が可能。
――というシンプルな考え方もできます!
I VIIIm7 III7
響けファンファーレ 届けゴールまで
VIm7 Vm7 Vm7/I #IVø7
輝く未来を 君と 見た いから
IV△7 V IIIm7 bIIIo7
駆け抜けてゆこう 君だけの道 を
Make debut!(スピカ)のサビ、前半の終わり。
サビ後半頭のIV△7に向かう接続のドミナントのような扱いで、#IVø7が配置されています。
トニックの代理
C6(♭5) = C, E, G♭(=F♯), A
Am6 = A, C, E, F#
F#ø7 = F#, A, C, E
I6(b5)・VIm6と#IVø7は構成音が100%一致しています。
これがトニック系コードの代理として扱える原理です。
I6(#11) Omit 5という解釈もできますね!
ポピュラー音楽でこの使われ方をする場面はそれほど多くはありませんが、合わせて説明しておきます。
#IVø7上で使えるスケール
演奏時には、ロクリアンスケールで対応することができます。