『G&L L-2000』というベースをご存知ですか?
僕の唯一無二の愛妻は、G&L社が誇る史上最高峰のエレキベース「L-2000」のカスタムオーダーメイドモデル。
2発の大きなピックアップと3種類の特殊なスイッチの組み合わせで、あらゆるサウンドを再現できる万能な子です。
専門学校在学中から講師になった現在まで、その使用歴は10年以上。
L-2000は、もはや僕の体の一部です。
そんな究極のエレキベース、G&L L-2000の魅力を余すことなく徹底解説します!
G&LとL-2000について
G&Lについて
まず始めにG&L(ジー アンド エル)とは。
天下のFenderの創設者レオ・フェンダー氏(Leo Fender)。
そしてFenderの創設メンバーにしてレオの永遠の盟友ジョージ・フラートン氏(George Fullerton)。
この2人よって設立されたのがG&L Musical Instrumentsです。
FenderとMUSIC MANで得た知識と技術の全てが注ぎ込まれた、いわばレオ・フェンダー氏の人生の集大成となる会社です。
George & LeoでG&Lですね!
L-2000について
そんなG&Lで1980年にレオ氏が発表した史上最強の最高傑作。
それがL-2000です。
- ジャズベース
- プレシジョンベース
- スティングレイ
すべてのベースの生みの親であるレオ氏が、その人生の集大成となる会社で作り上げたまさに究極のエレキベースなのであります。
こちらは島村楽器さんの情報サイト「Guitar Selection」のG&L特集記事です。
記事を覗いてみると、その手作業の量に驚かされると思います。
ボディの整形からピックアップの配線まで、そのほとんどがハンドメイドです。
経験豊富な職人のチームで構成されたG&Lカスタムクリエイション部門は、もともと一定数の特定の楽器が製作される限定版楽器のみを製作することを意図していたそうです。
まさにハイエンドモデル…!
G&L L-2000の各コントロールスイッチの解説
G&L L-2000の最大の特徴である各種スイッチについて解説していきます。
ノブについて
L-2000に搭載されたノブは全部で3つ。
ネック側から順番に
- Volume(ボリューム)
- Treble Cut(トレブルカット)
- Bass Cut(ベースカット)
シンプルで分かりやすい構成です。
EQの周波数と可変範囲は
- Treble 8KHz -14dB
- Bass 40Hz -14dB
数値の参照元: G&L M-Series Bass Preamp Discovery
ノブは時計回りにフルテンでフラット。
反時計回りに回すことでカットになります。
そして、そして!
なんとL-2000は、パッシブ状態でも上記のEQを使用することができます。
通常、パッシブベースのコントロールは「ボリューム」と「トーン」の2系統のみです。
パッシブモードでもTrebleとBassを調整することができるL-2000は、より幅広いサウンドメイクが可能になります。
G&Lの楽器はピックアップのパワーが強いので、この3つのノブで出力を上手に調整してあげることが大切です!
僕は基本的にVolume 85%、TrebleとBassは90%の状態で使用しています。
いざという時にブーストできるように余裕を持たせたセッティングです。
EQに関する追記
G&L L-2000は、パッシブ状態でもEQを効率良く効かせるためにじわじわと電池を消耗しています。
とは言っても、数年に一度交換するようなペースです。
電池を抜いた状態でもEQノブは動作しますが、やはりバッテリーを挿入した状態のほうが圧倒的にEQの効きは良くなります。
スイッチについて
ピックアップセレクター
3-Position Pickup Select
- Top – Neck
- Middle – Neck & Bridge
- Bottom – Bridge
このスイッチでは、使用するピックアップを選択することができます。
- ネック側のPUだけ使いますか?
- ブリッジ側のPUだけ使いますか?
- それとも両方とも使いますか?
ということですね。
使用するピックアップで、音の硬さが大きく変わります!
お気に入りの音色を見つけましょう!
サウンドセレクター
3-Position Sound Select
- Top – Series(直列回路)
- Middle – TAP(シングルコイル)
- Bottom – Parallel(並列回路)
ピックアップの電気回路を選択できるスイッチです。
- パワー重視の直列回路にしますか?
- ノイズに強い並列回路にしますか?
- 輪郭がはっきりするシングル回路にしますか?
わかりやすく書くと、こんな感じの解釈になります。
ここまで多彩にピックアップの回路を換えられるベースは他にありません!
インドネシア製のG&L Tribute(トリビュート)のL-2000にはコイルタップの機能が備わっていません。
本場のG&L USA、日本製のG&L Japan Premiumのモデルにのみ搭載されているシステムなので注意しましょう。
プリアンプセレクター
Preamp Control
- Top – Active(Treble Boost)
- Middle –Active(Standard)
- Bottom – Passive
パッシブとアクティブの切り替えスイッチです。
L-2000の背面には9V電池を装填するためのポケットがあるんですけども。
ここの電池が切れても、パッシブモードにすると音が出せます。
Treble Boostは、ただでさえ高出力なG&Lのアクティブ回路をトランザム(ブースト)で更にバッキバキなサウンドにすることができる狂気のスイッチです。
G&L L-2000の多彩な音作りについて
上記の3種類のスイッチを駆使することで、多彩なサウンドを表現することができるのがG&L L-2000の最大の特徴です。
3つのスイッチがそれぞれ3パターンずつで、合計27パターンの音色を使い分けることができます。
ジャズベースのサウンド
- Pickup: Neck & Bridge
- Sound: TAP
- Preamp: Passive
パッシブ回路のシングルコイルがふたつ。
これで「ジャズベのサウンド」になります。
僕は普段、このモードで使用しています!
プレシジョンベースのサウンド
- Pickup: Neck
- Sound: Series
- Preamp: Passive
ネック側にシリーズのピックアップがひとつ。
これで古臭い「プレベのサウンド」を再現することができます。
スティングレイのサウンド
- Pickup: Bridge
- Sound:Parallel
- Preamp: Active
アクティブ仕様で、ブリッジ側にパラレルのピックアップ。
これでL-2000の前身である「スティングレイのサウンド」を再現することができます。
なんて器用な子!
これ一本あれば他には何もいらないです!
変幻自在のG&L L-2000。
使いこなせばどんなジャンルの楽曲にも柔軟に対応することができる、究極のスイッチングシステムです。
G&L USA / L-2000 Luna
標準的なL-2000の仕様を解説したところで、少しだけ僕の愛機について紹介させてください。
世界で1本のカスタムオーダーメイドモデル『G&L USA L-2000 Custom Luna』。
僕の愛妻るなちゃんについてです。
仕様
じゃじゃん。 G&L本社様にお願いして、るなちゃんの仕様書のpdfファイルを送って頂きました。
オーダーから5年も経っていたので、色々と手続きが大変で取り寄せに2ヶ月もかかりました。
BODY
BODY WOOD: Alder
BODY FINISH: Nitrocellulose Lacquer / Dark 3-Tone Sunburst
BRIDBE: Saddle-Lock
NECK
NECK PROFILE: 内緒
NECK WOOD: Hard-rock Maple with Ebony fingerboard
FRETS: 内緒
NECK OTHER: No Top Dots / Matching Head
ELECTRONICS
PICKUP: MFD-Lseries humbucker
僕のこだわりはNo Top Dots。
るなちゃんの指板にはポジションマークがありません。
ノイズのない真っ黒なエボニー指板。
アップライトベースの指板のように美しいフィンガーボードです。
記事と関係ないけど、和明さんのベースの指板、めっちゃ綺麗だなぁー
— yu-ta (゚д゚)ハーフマラソン諦めたよ (@chocopaaaaaan) February 18, 2019
カラーリングも通常の市場に出回っている3-Tone Sunburstのカラーよりも、特別に暗めの色合いでラッカー塗装を吹いてもらっています。
本来オーダーメニューには無い項目なのですが、特別に要望を通していただけました。
日本代理店の担当スタッフの方には頭があがりません。
ポジションマーク無しのエボニー指板、暗めの3トーンサンバーストボディにマッチングヘッド。
この仕様のL-2000は、本当に見たことがありません。
オーダーメイドですからね!
他にも指板のRやフレットのサイズなど、選り取り見取りで筆者好みにカスタムしてもらっています。
同じ仕様のL-2000をこの世に産まないために、細かい部分の情報を一部自主規制しています。
ふふふ。
愛して止まない僕だけのG&L L-2000です!
ちなみにL-2000の重量は約4.5kg。
この価格帯のベースと比べると、ごく平均的な重さだと思います。
G&Lのベースはネックが弱い?
世間一般では「G&L製のベースはネックが弱い(反りやすい)」と言われているんですけど。
僕の中では、ネックが弱いという印象を受けたことは一度もありません。
米国製(USA)、日本製(Japan Premium)の2本を所持していますが、いずれもネックの調整を行うことは滅多にありません。
逆に「よく日本の不安定な気候でココまで安定しているな…」と感心しています。
ネックの弱さに関しては「個体差に左右される」という認識ですね。
我が家の子は、どうやら当たり個体みたいです。
かずあき先生とG&L L-2000
僕がG&L L-2000と始めて出会ったのは高校3年生の春。
当時ギターからベースに転向した際に「どんな音楽にも対応できる最高の楽器を選ぼう」と模索してたどり着いたのがL-2000でした。
人生で初めて手にした自分のエレキベース。
日本製のG&L Japan Premium (L-2000 TBK/M)は、良くも悪くも暴れん坊でした。
「G&Lと言えば、とにかくハイパワー」
そんなイメージが有名だと思います。
まさにその評判通りでした。
G&L独自開発の2発の大型ピックアップから繰り出されるサウンドは、ベース初心者だった僕には制御するのが難しいくらいのハイパワーでした。
耳に突き刺さるようなバッキバキのスラップを演奏したいのなら、Japan Premiumモデルは最高です。
USAモデルをオーダーしたのは、専門学校1年目の9月。
オーダーの際、Japan Premiumの魅力にすっかり取り憑かれていた当時の僕には、G&L以外の選択肢はありませんでした。
今振り返るとあまりにも早い段階でのオーダーだったな、とも思うんですけど。
自分が音楽の道に生きることへの覚悟の現れだったと思っています。
英語のG&L公式サイトとにらめっこしながら何日もかけて項目を検討したのを覚えています。
当時G&Lの国内代理店だったクロサワ楽器 御茶ノ水店さんにオーダーのメールをした時の緊張は一生忘れません。
※2016年12月から山野楽器さんが代理店業務を行なっています。
USA/カリフォルニアから日本/北海道の僕の手元に届いたのは、翌年の1月。
ダイヤモンドダストが眩しい真冬の朝に、彼女と対面しました。
それ以来、楽しくて仕方ない時も、苦痛で吐きそうな時も、このるなちゃんと2人で乗り越えてきました。
USAはJapan Premiumに比べると非常にお上品なサウンド。
同じG&L L-2000を銘打っていますが、日本製とアメリカ製では全く別物の楽器です。
かと言って決して大人しいワケでもなく、凶暴な牙を内に秘めています。
素の音があまりに美しいので、可能な限りエフェクターを介さないスタイルに落ち着きました。
商用のCDレコーディングの際も、シールド1本でDIに直刺し。
その後の加工はMIX用のEQとコンプだけでOK!!
そんな子です。
あれもやりたい、これもやりたい。
そんな破天荒な僕の性格に、柔軟に応えてくれるG&L L-2000。
るなは僕の人生そのものです。
G&L L-2000は、僕の命を懸けるに相応しい最高のベースです。