こんにちは。
ベース講師の高橋和明(@KAZUAKI_virgiL)です。
お問い合わせフォームより質問をいただきました。
「Twitterに”弾いてみた動画”を投稿するのは違法だと聞きました。そのあたりについて詳しく教えてください。」
細かい説明を端折って結論から書くと、実は違法行為です。
これは間違いありません。
「フォロワーの人たちも皆アップしているし大丈夫でしょ!」という感覚で気軽に演奏動画を投稿してしまうと、
刑事: 10年以下の懲役または1,000万円(法人は3億円)以下の罰金(著作権法第119条)
民事: 損害の実態に応じた損害賠償請求
という形になってしまう場合も。
JASRACと契約すれば良いんですよね?
知ってますよー。
これは誤解されている方がかなり多いのですが。
実はJASRACと契約しても、原盤(CD音源)に合わせた弾いてみた動画がNGなことに変わりはありません。
「え?」と思った方。
ぜひこの記事で勉強していってください!
「知らなかった」では済まされません!
弾いてみた動画を投稿してみたいプレイヤーさん必見です。
TwitterとJASRACは包括契約を結んでいないので、JASRACとの契約なしに演奏動画をアップするのはNG行為になります。
また、JASRACと契約を交わしている場合でも「原盤に自分の演奏を乗せて動画を投稿する」というのは権利侵害にあたります。
…な、なんて?
大丈夫です、ひとつずつ詳しく解説していきます。
音楽に携わる者として、正しい知識を身につけておきましょう!
はじめに
本題の前に。
この記事は、
- 原曲音源を使った演奏動画は違法だから削除しろよ!
- ちゃんとJASRAC(著作権)と契約しろよ!
みたいなコトを主張したり促したりするための投稿ではありません。
「この記事を通して権利侵害の動画が減ればいいな」とも思っていません。
この記事は、今回BASS NOTEにいただいた「Twitterに”弾いてみた動画”って投稿しちゃダメなんですか?」という質問に対して
- Web上に出回っている情報
- 専門の方からの回答
- 自分なりの解釈
などをまとめた個人の備忘録になります。
あくまで、ただのメモです。
僕自身も音楽を仕事にしている身なので、ちゃんと知っておこうと思って調べてみました!
その内容を個人のメモとしてまとめた投稿になります!
また、このような法律が絡むお話は、その道のプロや音楽業界の方のなかでも解釈が変わってきます。
同じような事例でも、担当する裁判官の判断ひとつで変わってきます。
アップロードするサイトやレコード会社の規約、権利を保有するアーティストによっても対応の違いがでてきます。
なので、この記事のなかでは物事を100%断定するような形でお話しすることはできません。
「最終的にはすべて自己責任!」ということを念頭に置いておいてください。
すべてはcase by caseってことですよね。
おっけーです!
最後に。
厳密なお話を1から10まで正確に解説しようとすると、難しい専門用語や、社会の仕組みを徹底的に読み解いていく必要がでてきます。
なので、この記事ではより多くの方に分かりやすく情報をお伝えするために
「かいつまんで説明すると、だいたいこんな感じだよ!」
というスタンスで解説させていただきたいと思います。
そのあたりも事前にご了承いただけると幸いです。
Twitterに弾いてみた動画を投稿するのは違法
では、本題です。
まずは大前提として認識を揃えましょう。
Twitterに演奏動画を投稿するのはNG行為
厳密には、歌詞を載せるのもアウトな行為になります。
え、みんな普通にやってるじゃないですか。
そうなんです。
みんなアップしているので、ついつい当たり前のように投稿してしまっている方が大多数だと思うんですけど。
実は、楽曲の権利的には許可されていない行為なんです。
もうひとつ、大切なポイントを紹介します。
CD音源に合わせた演奏動画は、JASRACと契約しても権利侵害になる
この件について詳しく知らない人が多すぎる!
日本レコード協会も
「CD音源に対して自身の演奏・歌唱などを重ねて、動画サイトなどに投稿する行為は、レコード製作者の権利を侵害している」
という文章で、はっきり主張しています。
[参考]: 演奏してみたは「違法」です?CD音源を使った演奏してみたの話 – れどめのブロマガ
じゃあTwitterに投稿されている演奏動画は、無条件に全部NG案件ってことですか?
投稿主さんが個人的に著作権・著作隣接権の許諾を得ていない動画は、法律上はすべてNGということになります。
現状では放置されてるけどネ。
Twitter特有のお手軽感から、ついつい権利関係なんて考えないで演奏動画の投稿を楽しんでしまうプレイヤーさんが多いのも分かるんですけども。
Twitterにおける弾いてみた動画の投稿は「かなりグレーゾンな行為」であることを、まずはしっかり覚えておきましょう。
具体的な3つの例
CD音源(原盤)に合わせた演奏
たとえば。
「叩いてみた」などのCD音源に合わせた演奏動画は
- 著作権(楽曲著作権・作詞著作権)
- 著作隣接権(原盤権)
- シンクロ権
これらの侵害にあたる行為になります。
[参考]: ユーチューバーの為の音楽著作権まとめ
え、ほとんどみんなこのパターンじゃないですか。
そうですよね。
だからこそ、一番最初に紹介しました!
「原曲を背景で流しながら自分の演奏を重ねて撮影した動画を投稿する」というのは、本来はレコード会社に許可を得る必要がある行為です。
現在投稿されている演奏動画たちは「許されている」ではなくて「放置されている・野放しにされている」というのが正しい解釈になります。
CD音源を使わない演奏
「バンドで弾いてみた」
「ソロベース弾いてみた」
「アカペラで歌ってみた」
このように、CD音源を使っていない演奏はJASRACと許諾契約を結んでいる場合はOKになります。
また、詳しくは後述しますがYouTubeやニコニコ動画のようにJASRACと包括契約を結んでいるサービスにこの形態の動画をアップする場合は、JASRACと個人契約をしていなくてもOKとなります。
「原曲の音源を使う」というのが、とにかくNGなんですね!
オリジナル楽曲の演奏
自作のオリジナル楽曲に関しては誰の許諾の必要もなく投稿OK!
どんどんアップして音楽の輪を広げていきましょう!
[参考]: 音楽利用の手引き- JASRAC
権利侵害をせずにTwitterに演奏動画を投稿するためには
それで、Twitterに演奏動画を投稿したいときはどうしたらいいんですか?
Twitterに演奏動画を投稿してもいい条件は
- 著作権フリーの楽曲を演奏する場合
- アーティストが利用を許諾している場合
- コード進行のみのバッキングを使う場合
- オリジナルの楽曲を自分で演奏する場合
- 著作権が消滅している(70年前の)曲を弾く場合
- JASRACと契約したうえで自分でオケを作って演奏する場合
- JASRACと契約したうえでソロベースやアカペラを披露する場合
- JASRACならびにレコード会社から楽曲の利用許諾を受けている場合
- YouTubeに動画を投稿してTwitterにURLを貼る場合(条件あり)
こんな感じになります。
え、えっと…?
JASRACとレコード会社の契約は別モノってことですか?
JASRACは著作権(歌詞・メロディなど)を扱う組織。
レコード会社は原盤権(実演家・レコード製作者などの権利)を扱う企業。
このふたつは、明確に取り扱っている権利が違います!
次の項目から順を追って説明していきますね!
[参考]: 著作権制度の概要 – 文化庁
そもそもJASRACとは
一般社団法人日本音楽著作権協会。
Japanese Society for Rights of Authors, Composers and Publishers.
通称JASRAC。
楽曲を作った人の代わりに、作品の管理や使用料の徴収を代行してくれている著作権管理団体です。
いろいろ黒い噂が独り歩きしていますが、使用料はちゃんと著作者に行くようになっています!
我々プロにとって、なくてはならない大切な組織です!
JASRACと個人契約を結ぼう
誰にも文句を言われずに演奏動画を投稿したい!
という方は、まずは手っ取り早くJASRACと個人契約しちゃいましょう。
それが一番早くて、安全で、そして確実です。
Twitterの投稿動画は「ストリーミング(ダウンロード不可)」に区分されるので、個人の方は年間10,000円(+税)で何曲でも自由に演奏することができます!
広告収入を得たりする場合には、料金プランが変わってくるので別途確認してください!
[参考]: Twitterでのカバー曲投稿について、JASRACさんに聞いてみたよ! – #宅録お母さん
[参考]: 使用料診断(インタラクティブ配信) – JASRAC
JASRACに個人契約の申請する方法
Twitterでの動画投稿は「インタラクティブ配信」の契約が必要になります。
申請は、J-TAKTというJASRACの申込フォームから行うことができます。
連絡用のメールアドレスと、動画を投稿したいTwitterアカウントのURLがあればOKです!
[参考]: J-TAKT – JASRAC
[参考]: 個人がTwitterで非営利のカバー演奏を公開する場合。JASRACとの契約の流れ – togetter
でも、JASRACと契約したところでオケにCD音源は使っちゃダメなんですよね?
どうしたら音源に合わせた弾いてみた動画をアップしていいんですか?
YouTubeに動画を投稿することで、CD音源を使っていい…という状態になる可能性が増えます!
オケに原曲を使いたい場合は、YouTubeに投稿した動画のURLをTwitterで拡散するスタイルにシフトするのがベターです。
緒にもう少し深掘りして勉強してみましょう!
JASRACと包括契約を結んでいるサイト
CD音源使用禁止問題に進むための事前知識として、先にJASRACと契約をしなくても良い場合のお話から紹介していきます。
- ニコニコ動画
- TwitCasting
- TikTok
- BuzzVideo
- ふわっち
- YouTube
- LINE LIVE
――などなど。
[参考]: 利用許諾契約を締結しているUGCサービスの一覧 – JASRAC
JASRACが包括契約を結んでいるサービスの中から、みんながよく使うサイトを抜粋してみました。
ここに掲載されているサービス内では、JASRACと個人契約を結ばなくても楽曲を使用することができます!
えっと、包括契約って何ですか…?
「包括的利用許諾契約」
わかりやすく言うと「楽曲使い放題プラン」の締結みたいなものですね!
Twitter社は楽曲使い放題プランを契約していないので個人で契約を結ばないと動画を投稿できませんが、YouTube(Google)社は楽曲使い放題プランを契約しているので利用者は誰でも動画投稿し放題!ということになります。
ギガ使い放題プランのスマホみたいな感じですね!
ありがとうYouTube!!
ライブハウスで我々が自由に楽曲を演奏できるのも、ライブハウスがJASRACと包括契約を結んでくれているおかげなんです!
Twitterはダメだけど、TwitCasting(ツイキャス)は包括契約を結んでいるのでOK!!
ツイキャスはモイ株式会社が運営しているライブ配信サービスなので、Twitter Japan株式会社とは別モノです!
[参考]: 動画投稿(共有)サイトでの音楽利用 – JASRAC
YouTubeとJASRACについて
YouTubeは、2008年10月23日にJASRACとの間で音楽著作権の二次利用に関する包括許諾契約を結んでいます。
そのため投稿者は著作権に使用料を支払うことなく、弾いてみた歌ってみたの動画を投稿できるようになりました。
[参考]: YouTube、JASRACから音楽著作権の利用許諾 – 日経XTECH
YouTubeはJRCやe-License、NexToneなどの著作権管理団体とも包括契約を締結しているので、実質日本で扱われているほぼすべての楽曲を無許可で使用することができます!
要約すると「YouTubeなら難しいこと考えなくてもどんな曲でも弾いてアップしていいんだよ!」ということになります!
ありがとうYouTube!!
(2回目)
もちろん、レコード会社が管理する原盤権などは含まれていないため、CD音源をそのまま投稿したりMV映像をアップするのは違法になります。
JASRACと契約してもCD音源を使っちゃダメ?
最重要項目
さて。
ここまでの知識を踏まえたうえで、楽曲の利用に関して一番重要でややこしい部分の解説です。
「演奏動画に原曲を使っちゃダメなの?」という内容について掘り下げていきます。
JASRACが包括契約で提供できるのは著作権であって、著作隣接権(原盤権)ではない。
――という仕組みが、世の中を分かりにくくしています。
……なんて?
ね。そうなりますよね。
著作権と著作隣接権について
ばばばばん。
楽曲には大きくわけて「著作権」と「著作隣接権」という2つの権利がありまして。
この2つの権利の使用許可を得ないと、楽曲を完全に使うことはできないんです。
著作権(JASRACの管轄) | 著作隣接権(レコード会社の管轄) |
・歌詞 ・メロディ | ・楽曲の原盤 ・著作者人格権 ・氏名表示権 ・公表権 ・同一性保持権 |
おぉ!
これが原因なのか!
そうです。
この権利のせいで「弾き語り(歌詞・メロディ)はOKだけどCD音源(原盤)を使うのはダメ」という現象が起きているんです。
◆JASRAC(包括契約含む)が保護しているのは、あくま楽曲著作権と作詞著作権のみ。
◆原盤権やシンクロ権は管轄外なのでJASRACは保護していない。
これを簡単にまとめると
- メロディや歌詞の使用に関してはJASRACが許可を出せる。
- でも原曲そのものの使用に関してはJASRACは関与できない。
※CD音源についてはレコード会社に権利がある。
ということになります。
音源そのものの権利はレコード会社にあるので、JASRACと契約してもOKが出るのは著作権だけ!
つまり、JASRACと契約しても著作隣接権はOKをもらえていない状態になります。
[参考]: 著作権についてJASRACさんを取材【ドラム叩いてみたをするために】 – ドラムかずきのドラムがすき
[参考]: 【弁護士解説】歌ってみた踊ってみた動画で注意すべきポイント!レコード会社の「著作隣接権」ってナニ? – SNS弁護士キタガワ【YouTuber・インフルエンサーの顧問弁護士】
YouTubeのContent IDならレコード会社から許諾が得られる!
解決策
もちろん、個別にレコード会社の窓口に問い合わせて許可を得るのが一番なんですけども。
それには時間も労力もかかります。
そこでYouTubeです。
なんと、この「著作隣接権の許諾を得てないよ」問題。
YouTubeに関しては緩和しています。
え、どういうことですか?
Content ID
YouTubeにはコンテンツID(Content ID)と呼ばれるシステムが導入されています。
CD音源を使った動画を投稿すると、わざわざ自分で申請しなくても
「この動画で、この楽曲を使ってるよー」
という情報をYouTubeのAIが自動でレコード会社に送ってくれるんです。
それを受けたレコード会社側は
- × 動画を削除する。
- × 音声をミュートしてもらう。
- ◯ 収益をレコード会社に回す。
- ◯ 無条件許可。
- ◯ 黙認。
などの選択肢から、審判を下してきます。
このシステムを通して、レコード会社さんから「使っていいよー」と自動で許諾をいただくことができます!
YouTubeに投稿されている動画の概要欄の一番下に、このような文章が記載されているのを見たことがあると思います。
これが、
「Content IDを通して権利者(レコード会社など)から許諾を得ているよ!」
という証明になるんですね。
おぉ!よく見かけるやーつだ!
もちろん、当然ですが「ダメー!」という場合もあります。
こんな感じの画面も、よく見かけると思います。
これはContent IDを通してレコード会社からNGを出された場合の表示です。
利用の許諾はケース・バイ・ケース!
レコード会社によって「宣伝にもなるし使っていいよー」という場合もあれば「絶対に許さん!!はい垢BAN!!」ということもあります。
報告を聞くかぎり、CD音源を使っていないアカペラやソロギターなどの動画でも著作権侵害の警告が来ることがあるようです。
まさにcase by case。
頭の片隅に入れておきましょう。
Content IDを通したレコード会社からの許諾は、先方の気分ひとつでNGに切り替わることがあります。
完全なホワイトで運用したい場合には、必ずレコード会社に直接許可をもらうようにしましょう!
演奏と著作権のあれこれ
ニコニコ動画と演奏動画に関して
ニコニコ動画の場合は、また少し権利関係が変わってきます。
ニコニコ動画はJASRACと包括契約を結んでいるほか、独自にレコード会社から楽曲利用の許諾を受けています。
え、すごい。
niconico許諾楽曲検索に登録されている楽曲に関しては、ニコニコ動画に弾いてみた動画を投稿する際にそのままオケとして使用することができます。
えっと…。
niconico許諾楽曲検索で出てきた曲なら、誰にも許可を取らずに動画に使っていいってことですか?
その通り!
このリストの中の楽曲は著作権も著作隣接権もクリアしているので、胸を張って演奏動画に使うことができます!
弾いてみた動画と逮捕されて罰則を受ける?
現実的には、罰則を受ける可能性は低いです。
現状の日本の法律では
「レコード会社が裁判を起こしてきた場合」
というのが罰則が発生する条件なのですが、ちいさな一個人を大手レコード会社が訴えてくる可能性は低いでしょう。
ただ、著作物の不正利用は違法行為に該当します。
これは間違いありません。
繰り返しになりますが、現状では野放しにされている所謂グレーゾーン扱いです。
つまり、通報されたら警察が動く可能性も無きにしもあらずということになります。
そのあたりは肝に銘じておきましょう。
逮捕される可能性が少ないからといって、それが楽曲の権利を侵害していい理由にはなりません!
「ベーシスト10人で弾いてみた」の注意点
Twitterに動画を投稿する際には、JASRACとアカウント単位での契約が必要になります。
契約を結んでいる人のアカウントから投稿するなら、原曲を使わない演奏はOKです!
ひとりも契約していないなら、芋づる式に全員が法に反した悪者になります。
これ知らないでやってる人、絶対多いでしょ…。
アカウントの使い方によっては、年間30,000円で楽曲使い放題になる団体契約を結ぶ必要があります。
[参考]: 法学部生が「弾いてみた」の著作権について解説してみた – かずきのギターチャンネル
[参考]: 【弾いてみた動画】演奏動画の作り方~Youtubeを例に①著作権編 – 週末のバンドマン
路上ライブの演奏の著作権はどうなるの?
- 入場料がかからない
- 演奏が営利目的でない
- 出演者に報酬が発生しない
という3つの要件を満たす場合は、利用許諾を得る必要はありません。
え、路上の投げ銭は報酬の発生にあたるんじゃないですか?
投げ銭は強制ではないので、明らかな商業目的のパフォーマンス以外は報酬としてみなされません!
[参考]: これって著作権的に大丈夫? 17の疑問をJASRACにぶつけてみた! – DiGiRECO online
営利・非営利については境界が曖昧なので、不安な方はJASRACに問い合わせて確認するようにしましょう!
また、路上ライブは場所の権利問題も絡んできます。
こちらも、不安な方は役所や警察に確認を取ることをオススメします!
記事本編で書ききれなかった注意点
- 外国の楽曲はまた取り扱いが変わってくるので気をつけようね!
- 訴えられたら損害賠償を言い値で支払うことになるかもしれないよ!
- いわゆる「原曲レイプ」は著作者人格権に引っかかるので気をつけようね!
- カラオケ音源を使う場合には、JOYSOUNDなどのカラオケ会社に許可を得る必要があるよ!
- 念を押して言うけど、楽曲は著作物なので権利を持っている組織に許可を得ようね!
まとめ
総まとめです。
「弾いてみた動画」をアップするときは
●Twitterに演奏動画を投稿することは権利侵害の違法行為!
(現状では放置されているグレーゾーン)
●JASRACと利用許諾の個人契約を結べば、CD音源を使わない動画ならTwitterに投稿してもOK!
●CD音源に乗せて演奏したいなら、YouTubeにアップしよう!
(Content IDを通して許可がおりる場合があります)
まずは上記3点をしっかり覚えておきましょう。
演奏動画を作るときの手順まとめ
演奏したい動画の権利関係と契約の必要性の確認
演奏動画を作るときの手順としては
- まずはJ-WIDで著作権の管理状況を調べよう。
- 投稿サイトが管理団体と包括契約を結んでいるか調べよう。
- 必要なら著作権管理団体と許諾契約を結ぼう。
使用したい楽曲がJASRACに信託されているかどうかは、J-WIDというデータベースで調べることができます。
[参考]: J-WID
J-WIDに登録されている楽曲を演奏したい場合には、JASRACとの個人契約が必要になります。
NexToneなど他の著作権管理団体がに信託されている場合もあるので、J-WIDでは取り扱いされていない楽曲でも油断は禁物です!
- ニコニコ動画
- TwitCasting
- TikTok
- BuzzVideo
- ふわっち
- YouTube
- LINE LIVE
などの、JASRACと包括契約(楽曲使い放題プラン)を結んでいるサービスに動画を投稿する場合には、JASRACとの個人契約は必要ありません。
[参考]: J利用許諾契約を締結しているUGCサービスの一覧 – JASRAC
原曲と合わせて演奏したい場合
ここまでの条件を満たしても「CD音源に自分の演奏を乗せた動画」は作れません。
原曲をオケとして使って演奏したい場合には、
- YouTubeに投稿してContent IDシステム経由でレコード会社から許可をもらう。
- 完全にホワイトに音楽活動をしたい場合には、個別にレコード会社に問い合わせて許可をとる。
- niconico許諾楽曲に登録されている楽曲を使ってニコニコ動画に投稿する。
ということが必要になります。
……現状では罰則を受ける可能性が低いので、ほとんど誰もやってませんけど。
「本当は法律ではこんな感じで定められているよ!」ということで紹介させていただきました。
法律やお金が絡むことなので、分からないことはJASRACさんに直接訊いてみましょう!
おまけ
ここからは余談です。
「みんな無許可でやってるから良いよね」
という考え方に対して。
「この曲を演奏して投稿したい!」ということは、そのアーティストや楽曲に対する愛やリスペクトがあるからだと思うんですけど、違いますか。
少しでも自分の好きなアーティストさんに還元したいっていう意思はないんですか!
ライブのグッズは買うのに、楽曲の使用料は払わないんですか!
……ということで、ちょっと考えてみてほしいなと思います。
私は1円でも好きなアーティストさんを支援したいので、合法の範囲で動画投稿をしていこうと思います!
さらにおまけ
悪の組織カスラック。
本来ならば正義の味方であるはずのJASRACが、世間から「カスラック」とまで言われてしまうのは
- 一般の方の知識不足
- 実際に問題がある部分がある
などなど、いろんな要素があるからだと思うんですけども。
なかでも 2019年7月に報じられた
「JASRACの職員が普通の主婦を装って、約2年間 某Y音楽教室に生徒として潜入。JASRAC職員は『コンサート会場にいるような雰囲気を体感しました!これは違法だ!』などと供述。
みたいなニュースが大炎上したのを覚えている人も多いのではないでしょうか。
自分が作詞・作曲した楽曲の利用許諾を日本音楽著作権協会(JASRAC)に拒まれ、ライブが開けなかったとして、ミュージシャンらが計約390万円の損害賠償をJASRACに求めた訴訟の判決で、東京地裁(佐藤達文裁判長)は16日、請求を棄却した。
「自分が作った曲でさえJASRACは許可を出してくれない」みたいなお話も有名な炎上案件ですね。
JASRACさんの立場上、言ってることは何ひとつ間違ってないんですけどねー…。
先生と生徒の信頼関係を破壊するような切り口は如何なものだったのかな、と思っています。
…これに関しては報道の仕方のせいもあると思うんですけどネ。
ほかにも「サンプリング分配」と呼ばれる統計を使った支払い制度にも、んん…?となってしまう方は多いんじゃないでしょうか。
知らない人は調べてみてね!
[参考]: ASRACの「潜入調査」は合法か? – Yahoo!ニュース
[参考]: JASRAC「潜入調査」の歴史について – Yahoo!ニュース
[参考]: 自作の曲を演奏できなかった作曲家、JASRACに敗訴
参考一覧
JASRAC
- インターネット上での音楽利用 – JASRAC
- 音楽利用の手引き- JASRAC
- 使用料診断(インタラクティブ配信) – JASRAC
- 利用許諾契約を締結しているUGCサービスの一覧 – JASRAC
- 動画投稿(共有)サイトでの音楽利用 – JASRAC
- J-TAKT
- J-WID
- 著作権制度の概要 – 文化庁
文化庁 YouTube
- ユーチューバーの為の音楽著作権まとめ – 黒田和良
- 著作権についてJASRACさんを取材【ドラム叩いてみたをするために】 – ドラムかずきのドラムがすき
- 【弁護士解説】歌ってみた踊ってみた動画で注意すべきポイント!レコード会社の「著作隣接権」ってナニ? – SNS弁護士キタガワ【YouTuber・インフルエンサーの顧問弁護士】
- 法学部生が「弾いてみた」の著作権について解説してみた – かずきのギターチャンネル
- niconico許諾楽曲検索
ニコニコ動画 ブログ
note
- Twitterでのカバー曲投稿について、JASRACさんに聞いてみたよ! – #宅録お母さん
- 編曲権の話とか、懲りずにJASRACさんに聞いたんだよ – #宅録お母さん
- [参考]: 個人がTwitterで非営利のカバー演奏を公開する場合。JASRACとの契約の流れ – togetter
- ポイント解説~著作権法 目次 – 弁護士法人クラフトマン
togetter 弁護士法人クラフトマン メディア/ニュース
- YouTube、JASRACから音楽著作権の利用許諾 – 日経XTECH
- これって著作権的に大丈夫? 17の疑問をJASRACにぶつけてみた! – DiGiRECO online
- 歌詞つぶやいても大丈夫? RTは? Twitterと著作権を考える ITmedia NEWS
- ASRACの「潜入調査」は合法か? – Yahoo!ニュース
- JASRAC「潜入調査」の歴史について – Yahoo!ニュース
朝日新聞