私は20歳で専門学校を卒業して以来、今日までプロミュージシャンとして音楽を仕事にして生きてきました。
ここ数年間で、私の弟子も立派なプロベーシストになりました。
今、音楽を仕事にしている方。
将来、プロのミュージシャンを目指している方。
そんな方に向けて、「プロとして生き延びるために大切なこと」を書いてみようと思います。
プロミュージシャンとしいて生き延びるために大切なこと
プロとして生き延びるために必要なこと。
なんだと思いますか。
熟練の演奏技術でしょうか?
高度な音楽理論の知識でしょうか?
違います。
そんなの、必要最低限のレベルにさえ達していれば生きていけます。
高級な機材でしょうか。
それをお迎えするための資金でしょうか。
違います。
私は5,000円のベースと3,000円のシールドだけで年間100本を超えるステージに立っています。
機材なんて必要ありません。
「プライドをコントロールする力」について
プロとして生き延びるために必要なこと。
その答えは「余計なプライドをコントロールする力」だと思っています。
プライド( =Pride)。
自尊心、自己尊重、威厳みたいな意味合いの言葉ですね。
私を含め、プロミュージシャンというのはプライドの高い生き物です。
それ相応の強いプライドがあるからこそ、ミュージシャンなんて職業を続けていられるんです。
でも、プライドって時として大きな弊害になるんです。
プライドが高いと、瞬発力が低くなります。
プライドが高いと、学びの機会を失います。
プライドが高いと、怒りの沸点が低くなります。
プライドが高いと、人間関係を極端に悪化させます。
プライドは大切です。
プライドはアイデンティティですから。
「何がなんでも譲れないものを持っている」って、とても格好良いことです。
でも、強固なプライドは人生の足を引っ張ります。
浅い人間になってしまいます。
「売れてるバンドマンはめちゃくちゃ腰が低い」という話を、一度は聴いたことがあると思います!
余計なプライドをコントロールできているからこそ、その腰の低さが体現されているんですね!
プライドとの折り合い
私自身も、いろいろありました。
今までの音楽人生のなかで、何度も自分の美学に反することを要求されてきました。
どれだけ控えめに表現しても、人間として難ありの方と組むことになったり。
ステージ衣装として、まったく自分の好みじゃない服装・髪型を指定されたり。
先方さんからの要望で、ダッサいド素人みたいなベースラインを弾かされたり。
思い返すと「あの時、よく仕事を蹴らなかったな」と自分を褒めたくなるような画面に何度も直面してきました。
これ。
もしプライドが邪魔をして、お仕事を蹴っていたらどうなっていたでしょう。
振り返ってみると、大口のクライアントさんと繋がる機会を失っていました。
先生って何気に苦労してきたんですね…。
あのとき、プライドをへし折って正解でした…!
無駄なプライドを捨てる方法
さて。
人生を邪魔するような自分の無駄なプライドをコントロールするためには、具体的にはどうしたらいいんでしょう。
リフレーミング( =Reframing)。
これに尽きるのではないでしょうか。
この言葉に初めて触れる方もいるでしょう。
リフレーミングについて
Reframing
心理学用語で「物事を違う視点(フレーム)から捉え直す」という技術を指す言葉です。
人間は、誰しも自分の視点(フレーム)から世界を観測しています。
その視点をズラして違う視点から見直す( =Re)と、思考のコントロールがかんたんにできるよ!というやつです。
例えば。
バンドのメンバーが、他のベーシストを募集していたとします。
(既にあなたが居るのに)
ベーシスト募集中!!
プライドが高いと、この現実はすごく傷つきますよね。
では、フレームを変えてみましょう。
自分の代打を用意された。悲しい。自分は信頼されていない。
↓
代打がいてくれたら緊急時に自分は休める!ありがたい配慮!
どうですか。
今後の活動がすごく気楽になりますよね。
傷つく現実がポジティブ要因に早変わりです。
これがリフレーミングです。
自分のプライドが暴走しそうになったら、まずは物事の見方を変えてみましょう!
プライドって自分の内側にあるものじゃないですか。
自分の外側にあるものをコントロールするのってほぼ不可能なんですけど、自分の内側にあるものなら容易に捻じ曲げることができるんです。
その手法として、リフレーミングを活用してみてください!