解決しないドミナント7thコードのうえでリディアンb7が使える理由

リディアン♭7スケールが使える理由

II7%-IIm7-V7-I△7とか、
I△7-bVII7-IIIm7-VI7とか。

4度上のコードに解決していないドミナント7thコード上では、リディアン♭7スケール(Lydian b7)を使用するのが一般的です。

ゆい
ゆい

「どうして解決しないドミナント7thコードにはリディアン♭7が使えるんですか?」

という部分について解説します。

解決しないドミナント7thコードのことを、音楽理論用語でスペシャルファンクションドミナント( =Special Function Dominant =SFD)と呼びます!
合わせて覚えておきましょう!

かずあき先生
かずあき先生
高橋 和明
かずあき先生
独立12年目のフリーランスのプロベーシスト。
専門学校卒業後、楽器店の講師経験を経て独立。
現在はジャズプレイヤー、作曲家、講師として活動。
プロの質問し放題のBASS NOTEオンラインコミュニティ「Minerva」を運営中。
ウマ娘ちゃん箱推し。

解決していないドミナント7thコード上でリディアンb7が使える理由

II7上でリディアンb7が使える理由

解決しないドミナント7thコード( =SFD)の代名詞、II7から読み解いていきましょう。

実際のジャズスタンダード楽曲の例

  • Take the ‘A’ Train(A列車で行こう) | 3-4小節目
  • All of Me | 13-14小節目

Key=CにおけるD7 (II7)です。
※分かりやすいようにKey=Cで解説します。

II7がVに向かうためにセカンダリードミナント( =V7/V)以外の用途で登場した場合には

「D7が登場した部分は、Cリディアンオーギュメントにモーダルインターチェンジしている!」

と考えると、スムーズに対応できます。

Mel-minの第IIIモード

リディアンオーギュメントとは、メロディックマイナーの第IIIモードにあたるモードになります!

「Lydian augmented」「Lyd +」などと表記されます!

かずあき先生
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  1. 解決しないD7(II7)上ではC.Lyd +にモーダルチェンジしている。
  2. D7はC.Lyd +のII度のコードである。
  3. Lyd +の第IIモードはLyd b7である。
  4. 故にD7上ではD.Lyd b7が使える。

という手順で導き出すことができます。

モーダルインターチェンジ先の導き出し方

楽曲中に登場する4度上のコードに解決しないドミナント7thコードは「メロディックマイナーのIV度からの借用和音」である

という事前知識があれば、次の手順でモーダルインターチェンジ先を導き出すことができます。

STEP
D7をIV度に持つメロディックマイナーとは?

Aメロディックマイナーです!

STEP
Aメロディックマイナーの中でCを主音に持つモードは?

第IIIモード
つまりCリディアンオーギュメントにモーダルチェンジしています!

[Lyd b7で処理したいコード]をIV度に持つメロディックマイナーとは?

この考え方を覚えましょう!

かずあき先生
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メロディックマイナーを基準にした分析の方法

A.Mel-minの第IVモード

「Cリディアンオーギュメントの第IIモードは…」という考え方では覚えることが多すぎるので、C.Lyd +の親にあたるAのメロディックマイナーを基準にして考えてみましょう。

AメロディックマイナーのIV度にD7があります。
『Mel-minの第IVモード = Lyd b7』という公式さえ覚えておけば、これで解決です。

メロディックマイナーのダイアトニックは
「メドリリミロオ」
で覚えましょう!

  • I.Mel-min(メロディックマイナー)
  • II.Dor b2(ドリアン♭2)
  • bIII.Lyd +(リディアンオーギュメント)
  • IV.Lyd b7(リディアン♭7)
  • V.Mixo b6(ミクソリディアン♭6)
  • VI.Loc ♮2(ロクリアン♮2)
  • VII.alt(オルタード)

以上7つの頭文字です!

かずあき先生
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bVI7上でリディアンb7が使える理由

実際のジャズスタンダード楽曲の例

  • Beautiful Love|11小節目
  • Blue Moon|6小節目

「bVI7-bVII-I」「bVI7-V7-I」などなど、bVI7も4度上に解決しないコードの代表格です。

D7-G7-C (II7-V7-I)
Ab7-G7-C (bVI7-V7-I)

このふたつを並べてみると、よく分かります。
bVI7はII7の裏コードとして考えることができるのです。

「裏コード上ではリディアンb7スケール」という音楽理論の公式があります。

その理屈を次の項目で細かく解説します!

かずあき先生
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裏コード上でリディアンb7が使える理由

分かりやすいようにKey=C換算で解説します。

G7-C△7

これは典型的なV7-I△7進行です。
V-IのVの上ではオルタードスケールが使用できます。

ドミナントモーションしているG7のうえでは、G.altを弾くことができます!

かずあき先生
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G7 – C△7 ( V7-I△7 )

Db7-C△7 ( bII7-I△7 )

じゃじゃん。
G7を裏コードであるDb7に置き換えてみました。

ディグリーネームに変換するとbII7-I△7となり、4度進行しないコードプログレッションが完成します。

bII7が「解決しないドミナント7thコード」になったので、Lyd b7で処理することになります!

かずあき先生
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ここでメロディックマイナーのモードの知識を使って分析してみましょう。

G.alt = Ab.Mel-minの第VIIモード
Db.Lyd b7 = Ab.Mel-minの第IVモード

どちらもAbメロディックマイナーを親に持つスケールです。
つまりG.altとDb.Lyd b7は構成音がまったく一緒なんです。

  • V7-I△7 = bII7-I△7
  • V.alt = bII.Lyd b7 = bVI.Mel-min

という式が出来上がります!

これが裏コード上でLyd b7が使える理由です!

かずあき先生
かずあき先生

bVII7上でリディアンb7が使える理由

実際のジャズスタンダード楽曲の例

  • Days of Wine and Roses(酒とバラの日々)|2小節目
  • Donna Lee|10小節目

ポップスのIV△7-V7-bVI7-bVII-I△7(マリオ進行)などでも目にする、4度上に解決しないbVII7

bVII7が登場したときも、セオリー通りにリディアンb7スケールで対応することができます。

ミクソリディアンb6にモーダルインターチェンジ

Key=C換算で

「Bb7(bVII7)が登場した部分は、Cミクソリディアンb6にモーダルインターチェンジしている!」

と考えると、スマートに導き出せます。

Mel-minの第Vモード

ミクソリディアンb6は、メロディックマイナーの第Vモードです!

「Mixo ♭6」などと表記されます!

かずあき先生
かずあき先生
  1. 解決しないBb7(bVII7)上では、C.Mixo b6にモーダルチェンジしている。
  2. Bb7はC.Mixo b6のVII度のコードである。
  3. Mixo b6の第VIIモードはLyd b7である。
  4. 故にBb7上ではBb.Lyd b7が使える。

という手順で導き出すことができますが、こちらもII7の分析と同じようにミクソリディアンb6の親であるメロディックマイナーを基準に考えると分かりやすです。

F.Mel-minの第IVモード
STEP
Bb7をIV度に持つメロディックマイナーとは?

Fメロディックマイナーです!

STEP
Fメロディックマイナーの中でCを主音に持つモードは?

第Vモード
つまりCミクソリディアンb6にモーダルチェンジしています!

これでモーダルインターチェンジ先を導くことができました!

  • Bb7はF.Mel-minの第IVモードである。
  • Bb7はC.Mixo b6の第VIIモードである。

どちらの視点から計算しても「Bb7上ではLyd b7が使える」という結論になります!

かずあき先生
かずあき先生

サブドミナントマイナーの視点から考える

別の角度からのアプローチ。

bVII7の上でリディアンb7が使える理由は

「bVII7はサブドミナントマイナーとして登場するのが一般的」

という知識があると、簡単に読み解くことができます。

  1. Key=CのSD.mの代表はFmである。(IVm)
  2. Fm系でBb7を含んだモードはF.Mel-minである。
  3. Bb7はF.Mel-min(のIV度)からの借用和音である。
  4. Mel-minの第IVモードはLyd b7である。
  5. 故にBb7上ではBb.Lyd b7が使える。

この考え方がスマートで分かりやすいですね!

かずあき先生
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例外:バックドア・ケーデンスにおけるbVII7

IVm7-bVII7-I△7

Key=CにおけるFm7-Bb7-Cというコード進行。
いわゆる「バックドア・ケーデンス」という進行の場合についてのお話です。

この進行で登場するbVII7は「バックドア・ドミナント(backdoor dominant)」という立ち位置に分類されます。

かずあき先生
かずあき先生

IVm7-bVII7は、同主調c mollからの借用した和音になります。
Lyd b7よりも、下記のスケールて対応してあけたほうがスムーズに解決できます!

  • Fm-Bb7のII-Vフレーズ
  • Fm DorBb MixoC Ion
    (c mollのダイアトニックから)
  • Fm Dor C Ion
    (ドミナント7thを削る省略形)
  • Bb MixoC Ion
    (リレイテッドIIを削る省略形)
  • C.min-Pent +b5C Ion
    (Cマイナーペンタ+ブルーノート)

moll(モル,モール)はドイツ語でマイナー(=短調)指す言葉です!

C minorのことを c mollと表記します。
この表記では主音が小文字になるのが特徴!

かずあき先生
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III7上でリディアンb7が使える理由

E7(III7)はBb7(bVII7)の裏コードなので、先に解説した「裏コードの上でリディアンb7が使える理由」の理論で説明できます。

【注意】
III7は9割以上がVIm7に進行するセカンダリードミナントとして登場するコードなので、フリジアン・ドミナント(HamP5↓)で処理するのが一般的です!

Lyd b7を演奏する場面は滅多にありません!

かずあき先生
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