「とにかく簡単に!お手軽に!カッコよく!」
あいつもペンタ!あの子もペンタ!
あの曲も!あのフレーズも!みんなペンタ!
本番で緊張して頭の中が真っ白になってしまった。
――なんていう緊急事態も、ペンタさえあれば乗り切れる。
そんな、みんな大好きペンタトニックスケールの紹介です。
ペンタトニックスケールとは
「とりあえずペンタだけ知ってれば生きていける!」
「何も考えずにペンタ弾いていればOK!」
そんな売り文句でお馴染みのペンタトニックスケール(pentatonic scale)。
まず指板上の形から覚えてみましょう!
2種類のペンタトニックスケール
一般的にペンタトニックスケールと呼ばれるスケールは、大きく分けるとメジャーとマイナーの2種類。
どちらも覚えやすい形なので、フォーム(指使い・配列)で覚えちゃいましょう!
メジャーペンタトニックスケール
ペジャーペンタトニックスケール。
通常のメジャースケールから4度と7度の音を抜いた形になります。
日本の童謡や演歌でもお馴染みの音階です!
Root, 9th, M3rd, P5th, 13thの5音で構成されたスケールです。
マイナーペンタトニックスケール
マイナーペンタとニックスケール。
ナチュラルのマイナースケールから2度と6度を抜いた音階です。
この世に存在するスケールの中で、もっとも人気と汎用性が高いのが、こちらのマイナーペンタトニック。
Root, m3rd, 11th, P5th, 7thの5音で構成されたスケールになっています!
「マイナーセブンスのコードトーン+11th」と解釈することもできますね!
ペンタトニックスケールの構造について
使いにくい音が省かれていて便利
ペンタトニックスケールはトライアドを軸に構成されていて、「使いにくい音」が省かれているのが特徴です。
例えば、メジャーペンタトニックスケールではナチュラルのメジャースケールにおけるアボイドノート――つまり4度の音が省かれています。
また、7thとmaj7thで音が変わる7度の音も省かれています。
頭を使って回避しなければいけない音が省かれているんです。
言い換えると、メジャー系のコードの上では何も考えずにメジャーペンタトニックを弾いても間違いない音で演奏できるということになります。
あら便利。
マイナーペンタでも同じ理由で、扱いにくい6度の音が省かれています。
ペンタを弾いとけばとりあえず誰にも怒られないサウンドで演奏できるということですね!
選択肢が絞られていて使いやすい
一般的なスケールが7音で構成されているのに対して、ペンタトニックスケールは5音で構成されています。
音数が少ないぶん、選択肢が絞られてシンプルで扱いやすいのがペンタトニックの特徴です。
【小話】ペンタとは
ペンタ(penta)はギリシャ語で数字の5を表す言葉です。
あ、ペンタゴンのペンタですね。
その通り!
1(モノ), 2(ジ), 3(トリ), 4(テトラ), 5(ペンタ), 6(ヘキサ)…、有機化学の世界などでもよく目にするワードだと思います。
必ずしも上の項目で紹介したスケールだけを「ペンタトニックスケール」と呼ぶわけではありません。
5音で構成されたスケールは、すべて「ペンタトニックスケール」の仲間になります。
5音音階はスコットランド、アイルランド、インドネシア、タイ、アフリカ、アンデス…、などなど世界中で愛されている音階です。
日本のヨナ抜き音階や琉球音階もペンタトニックスケールに一種になります。
ペンタトニックスケールを使った楽曲
- 島唄 – THE BOOM
- バクチ・ダンサー - DOES
- 蛍の光(Auld Lang Syne) – スコットランド民謡
- Take Me Home, Country Roads(カントリーロード) – John Denver
- Let it Be – The Beatles
などなど、ペンタトニックスケールで作られた楽曲は世界中にたくさんあります。
とにかく使いやすくて耳に残りやすいのがペンタトニックの魅力ですね!
日本のゲーム音楽界を代表する一曲、メタルギアのテーマのメインメロディもペンタトニック一発で構成されています!
ペンタ依存症に注意
普通に音楽ライフを楽しむぶんには、ペンタとニックスケールだけ弾ければアドリブは楽勝!
というのが現実です。
それ故に、陥ってしまう沼があります。
ペンタトニックスケールがあまりに有名で格好良くて使いやすいせいで
ペンタしか弾けません!
…っていうかペンタしか知りません!
という症状に陥ってしまう方がめちゃくちゃ多いんです。
通称「ペンタ依存症」と呼ばれる現象ですね。
この沼にハマってしまうと、抜け出すのは一苦労です。
自分の音楽性がペンタの呪縛に囚われてしまわないように、気をつけながら使用しましょう!